主婦・主婦権についての四方山話

今日のお話は「主婦」・「主婦権」
についての四方山よもやまはなしです。

近年において、専業主婦という立場が
卑下されたり、或いは見直されたり
微妙な状態におかれている。

フェミニズムを唱える主義者からは、
女あるいは嫁というものは弱い者で、
虐げられた存在だと声高に叫ぶであろうが、
本来の主婦としての地位は、
昔の武家社会は別として、
一般常民の家に於いての主婦権
というものは絶大なものであった。

主婦は家政全般の管理者であり、
特に食物の管理者として一家の経済を
取り締まる、重い責任を持っていた。

また時には、
家を代表して社交の裁量も任されており、
更には竃の神をはじめ、家の神を
祭るのも主婦の大切な役目であった。

それ故に、地方によっては
主婦のことをいえ刀自とじと呼び、刀自
とは家事を司る「かしら」という意である。

女性の呼称に、
「オクサン(奥さん)」・「オカミサン(お上さん)」
・「ゴゼンサマ(御前様)」等あるが、
「奥さん(奥様)」は、今では他人の
妻を尊敬して言う語に変化しているが、
元々は「奥の方」に居る人の意であり、
一般的常民とは別のものである。

「オカミサン」というのは、
一説には「山の神」に譬えて、怖い
存在の「神さま」が転訛した
ものと言い、或いは又、家の畳の上
・床の上に居る人、即ち「御上」の
人という意から発したという説もある。

古くは上方地方に「オイエハン」
という呼び方があったようで、
「オイエ」は家という建物全体を表す
と同時に、土間に対する上段のこと
で畳の上・床の上を表す言葉であった。

従って「オイエ」は「御上」であり、
これを「オカミ」と読み替えた
と考える説もある。

因みに近代において流行った
「ママ」に至っては、外国語の
「ママン」や「マミー」を更に幼児化した
もので、日本語としては論外である。

幼児語ならば、「カカサマ」や
「オッカア」などの方がまだしもである。

それどころか、
今でも「かかあ天下」という
言葉が厳然と存在する如く、「かか様」
は絶大な権威をお持ちなのである。

そして、もう一つ
主婦のことを「御前ごぜんさま」と呼ぶのは、
身分ある婦人を敬って言う言葉
であると同時に、自分の妻に
対しては「オマエ」と言い換えて
いるが、いずれにしても、本来主婦
というものは家の中心的存在であり、
貴い存在であった証であると思われる。

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