日本における礼儀とは

日本における礼儀とは、
古くから伝承されて来たなかで、
往来で知人と出合ってお辞儀をする
ことや、結婚式での三三九度の盃
のように、式場や祭場での儀式として
の作法に至るまで、とても範囲が広い。

日常生活においても
目上の人に対する敬語や、社会全般
における公衆道徳までも礼儀の範疇と
なるので、その範囲は漠然としている。

それは、礼儀と
節度を同類のものとして扱う故
であるが、同じように礼儀と行儀
作法も同類のものとして扱うから、
範囲が漠然として来るのは当然となる。

しかし厳密に言えば
似て非なるものであり、それぞれ
時代によって変遷を伴うものである。

ここではその範囲を
礼儀にしぼってお話したい。

一例を挙げると、お客を
招くときは、客間を清掃して
調えた上座に招き入れるのが
礼儀であり、言い換えると、
そういう知識が礼儀であり、同時に
その知識を実践するのが礼儀である。

そして、
お客の方も招かれて、もてなしを
受けてお暇するまで礼儀が必要となる。

礼儀とは、
招待する側・訪問する側双方に、
心得るべき事わきまえる事が存在する。

それは、
言葉遣い・服装・作法・饗応に至る
まで、細心の注意を要することになる。

また
祝儀・不祝儀の、いわゆる冠婚葬祭
の場での礼儀は特に難しいものである。

しかも、神道と仏教では
真逆の事実も存在しており、神道
では鯛や鮎などの鮮魚をお供えするが、
仏教では生臭物として退けている。

その場に配慮しての言葉遣いで、
忌み言葉と呼ばれるものがあるが、
この忌み言葉も、本来の起こりは
時代的背景が濃厚であり、
古くは仏教関係の用語を忌んで、
仏をなか・経をそめかみ・塔を
・寺を瓦葺かわらぶき・僧をかみなが・尼をかみなが・斎をかたしき
というように七語を挙げ内七言としていた。

更に
外七言としては、死をなおる・病をやすむ・泣くをしおたれ
・血を・打をなづ・宍をくさひら・墓をつちくれなどとして、神事
を完全に行うについて忌む語であった。

それ
が時代の変遷を経て現代に於いては、
不幸を連想させる言葉に変貌している。

祝儀の結婚式では、
終わる・終了⇒整う・お開き。

移る・移動⇒お運び。

等と言い換えて、切れる
・離れる等の語は禁句である。

不祝儀
の葬式では、消える・落ちる
・大変・再び・続く・重ね重ね
等の言葉は禁句であり、
当事者の心情をおもんばかってあげる
のが礼儀であり、良識とか常識と
いう言葉に置き換えられるものである。

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