多種多様にある「魔除け」
我々日本人は、「魔除け」というものに対して、信用しないまでも何となく抗えぬ精神性を有している。またこれは、日本人という民族性というものである。 この「魔除け」というものは、科学の範疇ではなく物理でも医学でもない。 敢えて言うなれば、形而上的・精神科学の分野に属することになるが、平たく言えば、良くは分からない分野ということになるだろう。
「魔除け」という語意は、悪魔を避けるためのもので「守り」という意味であるが、その範囲は広くて、疫病なども防御し災難をも退散させる、多種多様の対抗呪物や呪法がある。そして、多種多様にある「魔除け」の中で、無視しても良いものと無視はしない方が良いものとがある。
大厄は蓄積された経験から、培ってきた風俗・習慣
例えば、「魔除け」と類義語の「厄除け」というものは、男子は二十五歳・四十二歳・六十一歳、女子は十九歳・三十三歳・三十七歳を、厄難のある年として忌み慎むものとしているが、特に男子の四十二歳女子の三十三歳は、一生中の大厄とされている。 これは古くから民間伝承されて来た通念であるが、四二が「死に」通じ三三が「さんざん」に通ずるところから、これらの年齢が大厄として強調されたという意味合いも存在するが、 それだけではない。
「生きとし生ける」長い年月を経て、人間が生理的にも社会的にも成熟期を迎え、人生に於ける折り目・節目となる大切な年回りを、厄年として忌み慎むようになったのである。 言い換えれば、人間社会の蓄積された経験から、培ってきた風俗・習慣というものである。
鬼門、良くない方角とは
また「鬼門除け」というものがある。 これは方位の吉凶禍福を表し、北東即ち艮(うしとら)の方角で万事に於いて忌み嫌う、災難を除き避ける為に、種々の呪物や呪法を施すものである。この鬼門(鬼方)というものも、日本の気候風土から生み出された吉凶禍福と考えられる。
良くない方角という事で最も分かり易いのは、陽当たりと風通しの良し悪しである。 北東という方位は朝日も夕陽も当たらず、風通しも良くないので住居を建築する場合には、最も間取りに気を遣う位置である。
過剰な意識は無用であるが
しかし、「魔除け」について過剰な意識は無用である。だけど侮っても良くない。 日本の風俗・習慣は、日本人の生活上の歴史であるから、全く価値の無い無意味なものは、日本文化とはならなかったはずである。 従って、現代社会にも適合する程度までか、或いは、心の安らぎを得る範囲までを許容することが適切と思われる。
天空の城ユドウフ