日本の冠婚葬祭

こんばんは、湯豆腐です。

今日は冠婚葬祭についてのお話を。

冠と婚と葬

常日頃、一口に冠婚葬祭と言っているが、改めて考えてみると漠然としていて、良くは分からないという人が多いのではないか。婚と葬は字の如しであるから良しとして、冠はたぶん元服のことだろうから、今どき元服という時代でもないので、これも良しとしよう。

では祭とは何なのか。これも一口に言えば、祖先の祭りということである。ところが祖先の祭りとなると幅が広い。その中で代表的なものは正月とお盆であるが、正月がなぜ祖先の祭りなのかと、不思議に思う人が多いのではないだろうか。

これは学問的には民俗学の分野であるが、平たく言えば、日本の風俗・慣習なのである。

そして同時に、日本の伝統・日本の文化である。

歳神様と農耕神と先祖霊

現代においては、日本人の生活形態が変化して農耕従事者が減少し、農業自体も近代化したことで農耕儀礼が衰退して行き、年中行事の中で最も代表的で重要だった、正月行事が次第に忘れられつつあるが、正月は、正月様という神様、これを歳神(トシガミ)様と呼び、年の初めにこの神様を家々に祀って、農耕生活の安泰と豊穣を祈るものであった。

そして、この歳神さまは農耕神( 穀物霊 )であると同時に、先祖霊としての性格も有していると考えられ、祖先神として年の初めに家々に迎えて祀られるのである。故に、正月は祖先の祭りなのである。正月の神祭りは大晦日の夜に始まり、この時神様に供える料理がお節料理である。

そしてお盆は、周知の通り先祖の霊を迎えて種々の盆行事が行われるが、地域によって様々な風習の違いがあるので、一概には語れないのがお盆行事の特徴である。しかし祖先の祭りであることは共通している。

婚や葬と地域性

因みに、地域によって様々な違いがある風俗・慣習は、婚や葬においても顕著である。

今でこそ総合結婚式場という事業者の方式が広まって、地域の風習や特徴が弱まっているが、かつては、婚礼という儀礼は非常に地域性の強いものであった。

そして、葬においては尚一層地域よる慣習の違いは大であり、死は人間にとって避けることのできない厳然たるもので、宗教や地域性を超えて、霊魂観・他界観・人間観をあらわすもので、葬法や儀礼についても非常に複雑であるが、やはり基軸となっているのは日本の神道である。しかし、日本には神仏習合の時代も存在し、互いに影響し合って文化を形成して来ているのも事実である。

我々日本人にとって冠婚葬祭とは、詰まるところ、日本の礼節の集大成と言えるであろう。

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