湯豆腐と運動場と男の子

こんばんは、湯豆腐です。

今日は学童保育の現場での出会いのお話を。

やすだのだ

小学1年生ぐらいの女の子が二人、運動場の一画で遊んでいる。 一人の女の子は木片を持って、地面に何かを書いている。 もう一人の女の子は何か書かれている地面を、運動靴を履いた足でこすって消している。

何をしているのかと近づいて見ると、地面に「やす田"さんはいじわる」と書かれている。 私が「田の " は、これは何?」と聞いてみると、「やすださんの だ」と答えてくれた。 漢字もまだ習ったばかりなのだろう。濁音や半濁音のことも、にごった音には点々を、破裂音には丸を付けると習ったのだろう。

確かに、やすださんの田は濁っている。 私が「ひらがなの時は点々がいるけど、漢字の時は要らないんだよ」と言うと、「え~そうなの!知らなかった~」何とも無邪気で可愛い! そして私が、地面に書かれた「やす田"さんはいじわる」に続けて「だけどかわいい」と書いたところ、足でこすって消していた女の子がニコ~と笑った。この時の二人の笑顔や仕草が可愛くて、腹を抱えるほど面白かった。

本当に強い人

また、小学2年生ぐらいの男の子が、気に入らないことがあると乱暴になって、すぐに手や足が出る。少しだけ適応障害気味で我が儘な性格のようである。興奮状態になると自分のコントロールができなくなる。従って相手が反撃してくると、益々興奮して歯止めがきかなくなる。そして自分の形勢が悪くなると、手当たり次第に物を掴んで投げつける。最後には危険な物を手にして最後の攻撃に出る。

ある日、その男の子が荒れ狂うのを、羽交い締め的に抱きかかえて引き離し、耳元で話しかけた。

「君は 強くなりたいのだろ、君は 負けたくないから強くなりたい。そうだよね。 でも、本当に強い人は優しさも要るんだよ。だって、強い人は弱い人に手加減ができるだろ。

だから優しくできるんだよ。 それに、本当に強い人は正直なんだよ。だって、本当に強かったら噓をついたり、ごまかしたりする必要がないんだよ。

だから自分が悪いと思った時は、ちゃんと謝ることができるんだよ。君も、本当は、ちょとだけ、自分が悪かったと思っているよね。君が、正直になれたら、君の味方になってあげれるよ」

次第に、男の子の興奮が和らいで来た。そして泣き出した。

それからというもの、その男の子は、私の注意・忠告には耳を貸すようになってくれた。

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