初秋の香り、金木犀
初秋の頃になると金木犀の香りが素晴らしい。 しかし、金木犀には誠に申し訳ないが、その香りは直感的にトイレの芳香剤と直結して、“ああ、あの匂いだ“となって終うのだ。 赤黄色の花が常緑樹の表面を一面に覆っているのを目にすれば、秋の訪れを強烈な香りと共に感応するのであるが、何分にもトイレの代表的な芳香剤とされたことが仇となっているのだ。もし、心外な先入観だと苦情があるときは、芳香剤製造会社の方へ言って頂きたい。
素晴らしい芳香の花といえば、やはりカサブランカとなるだろう。
その芳しい香りと、うつむき加減に咲く花姿が気高く清楚で、どこか儚い美しさを湛えている。
そしてカサブランカという品種名が、モロッコの都市名に因んで名付けられた、和名だということを最近になって知ったのである。
秋の風情・風味
また、日本の秋の風情・風味といえば、代表格は松茸となるだろう。 いつだったか、スーパー等で販売している松茸ご飯を食してみたが、薄く刻まれたキノコは正体不明でエリンギのように思われ、松茸の香りはインスタント食品の、【松茸お吸い物】が混入されているように感じられた。
随分昔の話であるが、憧れの松茸狩りを体験したことがある。 それは観光の松茸狩りではなく、全く自然のままでの松茸探しだったので、同行者の一人は立派な松茸を見つけたけれど、私は一本も見つけることが出来なかった。 その上、山の斜面に堆積している落葉を掻き分けて探していた時、太くて大きなムカデが身体に登って来て、これを振り落とすのに苦難の思いをした記憶がある。
私には松茸に対する成功した経験は無いのであるが、それでも一年に一度の短い旬に、松茸の高尚な香りと譬えようのない食感は、やはり食い道楽の憧れである。
天空の城ユドウフ