冠婚葬祭総合研究所のアンケート調査、『自分の葬儀は直葬でもいい』が半数以上を占める

こんばんは、湯豆腐です。

業界団体の発表によると、自分の葬儀は通夜や告別式を行わない「直葬」でも良いと考える人が半数を超えたらしい。

結婚式の写真

人生の折り目・節目

日常生活をしているなかで、日常とはちょっと違う改まった気持ちになる時がある。 それは日常と言うより、人生と言いたい時であり、身が引き締まる思いと表現したい時で、それは、人生の折り目・節目と呼ばれるものである。

人生の折り目・節目を迎えるには、絶対に失敗は許されないもので、いわゆる正念場とも呼ばれる、人生において最も大切な場面ということになる。 その人生の折り目・節目の代表的なものが、先ずは結婚であろう。『結婚は人生の墓場なり』と言われるもので、男女共に終生の伴侶を決定するのであるから、まさに正念場である。

次々と押し寄せる折り目・節目

そして結婚によって、次々と折り目・節目が押し寄せて来ることになる。 出産・命名・初宮詣、お食べ初め・雛節句・端午の節句・七五三祝い・入学式等々忙しいことである。これらは子どもの成長に伴う通過儀礼であるが、それと共に、高齢になって行く自分の親についても、還暦祝い・古希・喜寿・傘寿・米寿祝い・・・と更に忙しい。 これらは、いずれも祝儀の節目であるが、これとは別に、葬儀や回忌など不祝儀の折り目・節目も存在するのである。 あまりにも多くの祝儀・不祝儀などが連続して、時には、のっぴきならない事情もあって、折り目・節目を欠ぐ事態があると、これを『ふしだら』と言って良いのか悪いのか定かでない。

崩れ始めた葬儀の「定型」

近年になって葬儀の定型が崩れ始めている。 親類や知人が通夜に集まって故人をしのび、翌日には葬儀そして告別式で送り出す。そんな葬儀の定型が変わりつつある。 通夜や告別式を行わず遺体を直接火葬場に送り、それを最後の別れとする『直葬』が増えていると言う。

葬儀の写真

直葬でもよいが53%

2017年に公正取引委員会が発表した「葬儀の取引に関する実態調査報告書」によると、葬儀の種類別での年間取引件数で、「増加傾向」にある葬儀の種類を葬儀業者に尋ねたところ、直葬が26.2%と家族葬の51.1%に次いで高い数値となった。 また、葬祭の業界団体が設立した冠婚葬祭総合研究所のアンケート調査で、世代別の消費者に、直葬についての意向を尋ねたところ、約800人の団塊世代(65歳~69歳・2016年)では、『自分の葬儀は直葬でいい』と回答した人は、「そう思う」「ややそう思う」が53%で半数以上を占めた。このことからも、直葬が広まりつつあることが窺えるのである。

直葬が増える背景については、核家族化の進展や地域社会の希薄化が考えられる。 時代の変遷で昔に較べると、近所付き合い自体が減っているので、隣り近所から家庭の事情や状況について、『あそこの子どもは親不孝だ』などと、心外な非難を受けることも少なくなっている。 これまでの葬式は、見栄と世間体で成り立つ部分が強かったのであるが、平均寿命の長寿化で死亡年齢も高くなり、同様に喪主を勤める子の年齢も高くなって、既に定年退職を迎えて、仕事関係の人が集まることもなく、もはや見栄を張る必要もなくなっているのだ。

求められる新しい生死観

そして何よりも、今や日本人の新しい生死観が求められている。 平均寿命は延びたけれど誰もが健康長寿を願い、医療技術の進歩は有り難いが、意味のない延命については、深く考えてみる時代となっている。 そして、日本人は多神教民族であるから、一神教のように厳しい戒律は存在せず、どのような生死観をもっても許される。どのような死を迎えるかは、どのような生き方をしたかであり、自分さえ納得できれば自由なのである。