子どもだった頃に一番欲しい物と言えば本だった。立ち読みには立ち読みのエチケットがある。

こんばんは、湯豆腐です。

今日はマンガと立ち読みとエチケットに関するお話を。

ほしい物と言えば本だった

私が子どもだった頃に一番欲しい物と言えば本だった。 本と言っても、まだ遊び盛りの小学生だから、まんが本が欲しかったのだ。 その頃には、まだテレビゲームなどは存在せず、身近にあって楽しめる物は漫画本が一番だった。

漫画の吹き出しの画像

その後時代は進んで、テレビゲームが爆発的な人気となり、更には、携帯ゲームへと発展して行った。 そして、この頃の時勢としては、携帯電話が爆発的に普及し、パソコンも急激に普及し始めた時代で、この為に世の中は活字離れが進み、それに伴って書店の受難時代であった。

立ち読み愚連隊現る

折しも、その受難時代に私は書店を経営していたのであるが、売り上げは伸び悩み経営不振に陥るなかで、招かざる客が頻繫にやって来るのだった。 不登校の中学生が、小学高学年の男児4~5人を子分に引き連れて、ドカドカと店内に入って漫画本を立ち読みするのだった。

立ち読みのエチケット

そんなある日長時間の立ち読みで、立っているのが辛くなったのであろう、この立ち読み愚連隊が通路に座り込んで、次から次へと漫画本をむさぼり読み始めた。 怒っている人の画像 私は、頃は良しとタイミングを見計らって強く叱りつけた。「おいっオマエ達、そんな所に座り込むんじゃない。他のお客さんの迷惑になるだろっ。立ち読みするなら立って読めっ。それが立ち読みのエチケットだろっ」。すると、愚連隊はびっくりした顔で、皆一様に黙って私を見つめていた。そのうち、リーダー格の中学生が私の方に近づいて来た。 「おじさん、オレ達が悪かったよ、謝るよ。・・・だけど・・あんな風に𠮟られたの、初めてだよ。これからは気をつけるから本を読んでもいいかな?」と、言うのだった。

毎日、学校へも行かず5~6人で徒党を組んで、街なかを徘徊するする奴らに対して、世間からは、店に入ること自体を嫌悪され、目障りだから寄って来るなと、いつも拒絶の対応を受けていたのであろう。そんな愚連隊にとっては、「立ち読みのエチケットを守れ」と𠮟られたのは初めての事だったのだ。それが奴らにとっては、自分達を受け入れた上での𠮟られ方で、どうやらそれが気に入ったようである。

愚連隊の変化

それからというもの、この愚連隊の態度が好意的なものに変わって行った。そして、自分の不登校についての相談もして来るようになった。 仲良しの画像 そこでの会話の記憶であるが、「義務教育だからと言って、君たちに学校へ行く義務は無いんだよ。義務教育というのは、君達のお父さんお母さんに、子どもを学校へ行かせる義務があるんだよ。それから学校の先生には、君達に学校教育をする義務があるんだよ。だから、君は学校へ行かなくても良いけど、でも学校へ行かなかったら、後になって学校へ行きたかったと思っても、もう学校へ行くことはできないんだよ。高校や大学だったら行く気になればいつでも行けるけど、小学校や中学校は卒業の年齢が過ぎたら、行きたくても行けないんだよ」。愚連隊リーダーは「そぉ~か」と一言。 「あの時こうしておけば良かった、ああしておけば良かった。後になって悔しがるのは辛いよな。だから、今しかできない事は今やっておかないと、後からではできないぞ」。 愚連隊リーダーが、「おじさん、オレ、明日から学校行ってみるよ」。「おじさんみたいな人が、学校の先生だったら良いんだけどなぁ」と。 「辛くなったら、また此処に来ていいよ」と言うと、愚連隊長は「オレが来るのおじさん嫌じゃないの?」。私が「嫌じゃないよ。嫌じゃないけど、立ち読みするのはあまり好きじゃないなぁ」。愚連隊長が一言だけ、「わかった!」と言って帰って行った。 その後ろ姿が心なしか、スキップしているように感じられた。