かつては西日本で一般的に神棚で祀られていた荒神(こうじん)さま。やがては忘れ去られてしまう日本文化の姿。

こんばんは、湯豆腐です。

変化した日本家屋の姿

近年では、日本家屋と言っても生活形態の変化に応じて、家の造りや間取りなどは和洋折衷の形式が多く、日本伝統の「床の間」が無い家も多くなっていると思われる。 そして、何よりも大きく変化したのが台所である。今では呼び方もキッチンと言われる方が多く、システムキッチンやダイニングキッチンとなって、冷蔵庫や電子レンジその他種々の家電製品が備わっている。勿論、飲食の煮炊きをする為のガスコンロや、或いはIHクッキングヒーターも備わっている。従って、炊飯器でご飯を炊くのは当たり前のことになっている。

竃(かまど)

現在でも50歳代以上の人なら、竃(かまど)や鉄釜をご存知の方も多いだろう。 昔の日本家屋には、おクド(竃突)さんと呼ばれるカマドが在った。しかも大抵は大・小二つ以上あって、ここで炊事の煮炊きをしていた。燃料には薪を燃やしてご飯も釜で炊いていた。大きいカマドには大きな釜を用いて、味噌や醬油を造る際に使用していた。 また冠婚葬祭など、大人数の飲食用に煮炊きする時に使用されていた。

荒神(こうじん)さま

東北地方や日本海側の地方では、竃の他に囲炉裏も使われていたと思われるが、炉にしても竃にしても家の中での火床として、物の煮炊きをする生活の要であるから、大切な所であり神聖な所だったのだ。 火は人間の生活に欠かせないもので、火の恵みは神聖なものであって、西日本ではカマドの神を荒神(こうじん)と呼び、カマドの近くに神棚を設けて、宮形に神符や御幣をおさめて祀る形が一般的であった。 従って、家の中には氏神や伊勢神宮の神符を祀る神棚と、台所の荒神を祀る神棚とが存在していた。

火の神を信仰することに荒神と呼ぶのは、人間の生活において火を使うこと、火の恵みは欠くことのできないものであるが、時には、火の神が荒れ狂うと大災難に襲われることになる。この為、火の恵みを享受するに留めることが肝要で、荒ぶることの無いようにと恐れの心情から、「荒神さま」と称するようになったと思われる。

現代に於いては、カマドも釜も使用することが無くなって、荒神さまも祀られることが極めて少なくなっている。これもまた、文明の発達によって文化が廃退して行くことの実証であり、やがては、忘れ去られてしまう日本文化の姿なのである。